杉並で、障害当事者の自立生活実現をめざす取組みの紹介です。


by tukurukai
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杉並区に1/23障害者自立支援法の実施に際しての要望を提出

杉並区長 山田宏様
2006年 1月 23日
障害者の住みよい杉並をつくる会
                             代表 小 川  久
                                桜 井  武 志
                                松 邑  絹 子

障害者自立支援法の実施に際しての要望

<要望の提出に当たって>
 私どもは、この間「地域で障害ある人々が自立して、地域の市民とともに暮らしていける環境を実現する」ことを目標として取組んできました。こうした中で昨年10月、障害者自立支援法が成立しました。この法律の目標も私どもの目標とほぼ同様と公表されています。
 私どもは、基本的に現行障害者サービス水準が維持することを杉並区が基本姿勢とされることを強く求めます。
新法の実施を4月に控え、今、率直に言って不安や疑問の部分があります。そこで、今後障害者の地域生活に確実に役立つ内容となることを願い、下記の要望を提出いたしますので、実施検討に当たり要望を反映されますよう要望いたします。

<要望内容>
1 利用者負担の軽減について
 利用者負担の導入によってサービス利用が困難になる人を出さないために、収入の少ない人は、障害者基礎年金で地域生活に必要なサービス利用が出来るように、工夫してください。
 具体的には、月額負担上限額対象で低所得2までの範囲を、一般課税所得のうち、住民税2万円まで拡大してください。

★ 資 料 ★
○およその年間収入額○
低所得1 80万円以下
低所得2 3人世帯-基礎年金1級(年993,100円)含め約300万円、単身世帯年金収入除き年125万円以下)
<一般住民税課税世帯>推計
親子二人家庭 (障害年金除く)
均等割のみ  年収2,800,000円
所得割一万円 年収3,500,000円
所得割二万円 年収4,100,000円
*410万円から、社会保険料年約40万円・サービス利用料年約60万円を引いた月額収入は約25万円となる。


2 精神障害者の福祉について
 利用者負担による受療の抑制がおこらないように、医療費の1割担を行なわないでください。
  または、負担控除対象層を拡大してください。
具体的には、中間所得層の市町村民税所得割2万円以下を引き上げてください。

3 居宅サービスについて
①地域生活には、ホームヘルプサービスは重要です。それには、個人の必要度に合わせサービスが利用できる支給基準となることが必要で、現在の杉並区の支援費支給基準を今回の制度に適用してください。
②重度者支援ヘルパーの養成を早い時期に実現して下さい。

4 重度障害障者の地域生活について
 ①20歳すぎたら親との同一所帯と切り離した支援サービスが実施されるようにしてください。
 重度包括支援などの「障害程度区分」に基づく支給基準作成にあたっては、現在利用している人が利用できなくならない基準としてください。
②医療的ケアを必要とする人達も利用できる支援サービスを増やしてください。
③身体障害者デイサービス事業(なのはな生活園など)で、医療的ケアを引き続き実施してください。
④また、病院で行っている区委託のショートステイの受け入れ内容を改善して継続実施してください。

5 行動援護サービス利用基準を改善してください
行動援護は、特に介護が必要な方へのサービスであるはずですが、利用できない実態があります(やむなく移動介護で対応している事例があり)ので、利用基準を緩和改善して利用できるようにしてください。

6 移動介護について ⇒ 地域生活支援事業で、区の仕事となる 
 ①地域生活にとって、移動介護は重要なサービスなので、これまで区で利用できた水準を維持して下さい。
②通学介助、通所、通勤送迎を対象として下さい。
<参考> 特に介助が必要な場合の移動介護について、これを児童タイムケア事業の実施や、通学バス利用不便地域、多動行動と介助上の事情、自立支援上の一定の体験期間の必要、などから、利用枠を拡大してください。
③ヘルパーに従事する人材が継続して行え、また人数が増えるためにも、適切な単価を設定して下さい。

7 施設サービスについて(入所・通所も含む)
①個々人の特質・才能を深く把握し将来への見通しをアドバイスできるサービス水準となるよう希望します。
  <新法では、多機能型として、一つの事業所で生活介護事業・自立訓練事業・就労移行支援事業・地域活動支援センター事業と多機能サービスの実施が出来るので、これを積極的に活用し、それぞれの方に適する日中活動サービスの提供、個別支援計画の積極活用、他事業所体験などの実施も取組んでください。>
②施設利用にあたっての負担は、給食費負担も含めて、年金と働いた給料で支払える額の範囲として下さい。
③給食費実費負担について負担軽減策など、給食費単価が高騰しない工夫をしてください。
④現行の施設サービスに係る支援費水準を低下しない運営を求めます。
 

8 コミュニケーション保障(手話など)について
 ①障害者の日常生活に欠かせないコミュニケーション支援の必要性理解と方法の普及、交通・消防・病院・学校・警察・区役所などの場で必要な最低限度のコミュニケーション支援の費用は、公費負担で行って下さい。
②各種コミュニケーション機器の活用がしやすい条件をつってください。
③コミュニケーション支援に力量、応用範囲の広いヘルパーの養成をお願いします。
④コミュニケーションサービス利用に際しての費用負担は、必要の特性を十分把握し負担をしないこととしてください。

9 サービス利用に当たっての相談支援について
 ①身近なところにサービス利用に当たっての相談、申請手続きができる(指定・委託)相談事業者を設置してください。また、施設その他で利用者からの相談をこまめに受けられるようにしてください。
 ②福祉事務所や保健センターで、相談、申請、受付ができ、障害特性を捉えたケアマネジメントをしてください。
 ③地域生活支援協議会を設置し、複数機関の連携の下にサービス提供が行われる必要がある場合への対応に力を発揮すると共に、制度上改善を要する点等についての課題提起を積極的にする働きがされることを要請します。

10 事業者の立場から
① 国のヘルパー単価に区が何らかの加算をするなどして、区内でのヘルパーを確保できるようにして下さい。
② ヘルパー利用に関する利用者負担増などについて利用者への説明を十分して下さい。

11 働く場・雇用支援について
①体験・チャレンジのため機会の確保のため、保健福祉計画を早期に実行に移してください。
②働く場の確保には、事業者、支援機関、家族、商店や起業者、行政による多様な場づくりの積み重ねが大事と考えます。それを区が積極的に支援して下さい。

12 住まいの場(グループホームを含む)について
 ①本人の収入で暮らせるグループホームとなるよう、また自立支援の視点から、家賃の一部補助がされる制度を設けてください。<現行区内グループホーム永住型平均自己負担額(家賃・食費・高熱水費・共益費など)は、90,000円~100,000円となっている。年金と手当てでこの金額となり日常生活の費用が不足する。一方、障害者自立支援法では、入所施設利用負担額は手元に25,000円残ることとしている。>
 ②今後のグループホームなど住まいの場の見通し設定に当たっては、現在入居している方の障害程度区分と、今後すだちの里すぎなみからの地域移行、精神障害者の暫増傾向、を加味して、ケアホーム、グループホーム、福祉ホーム、居住支援サーピス内容づくり、としてください。
 ③多様な状況の方がグループホームなどで地域生活が送れるには、運営事業者の創意工夫と権利擁護、自立生活支援、支援職員の確保と力量のアップ、安定した運営が欠かせないので、杉並区の方向を明らかにする中で、区の援助をして下さい。
④グループホーム等の設置には、オーナーの理解、不動産事業者との連絡、周辺住民の理解が大切なので、継続した働きかけと連携を取れるようにしてください。

13 地域生活支援事業について
 ①介護給付、訓練等給付の各種サービスだけでは生活支援が不十分な部分について、メリハリある施策を具体化し、実施してください。
②小規模通所施設は、自立支援法サービス類型では利用できない人の場となるので、自立支援の点を押さえつつ施策を継続してください。
 ③地域生活支援事業にかかわる利用者負担については、介護給付や訓練等級との比較で一律1割負担とするのではなく
a.現行サービス利用での負担を据え置くこと
b.現行無料実施事業は、それを据え置くこと
C. 地域生活支援の観点から安価で利用できるようにしてください。

14 障害程度区分非該当となった方のヘルプ事業の実施を
介護給付のヘルパー派遣事業で、①日常生活支援、②家事援助を内容とする新規事業となる生活サポート事業を実施してください。

15 認定調査・審査会・支給決定について
(1)認定調査委員について
   調査員は、障害特性について十分な認識を持ち、かつ地域生活支援に従事してきた者を選任されたい。
(2)市町村審査会について
 ①審査委員には「地域生活とサービス利用について知識と経験がある障害当事者」を選任されたい。
②本人が希望する場合は審査会に出席(必要な場合は関係者・支援者の同席)できるようにされたい。
③「非定型の支給決定」について市町村が審査会に意見を求める場合は、本人の意志確認-同意書と、どのような情報・資料が提出されているのかについて本人に開示すること
④二次判定を実際の状態像、実態に一致させていくためにも、環境やサービス利用状況等の情報を積極的に活用していく必要がある。そうした点から、二次判定資料として、概況調査を積極的に活用すること。主治医意見書に偏ることなく、特記事項や概況調査等から得られる情報を重点的に見ること。
(3)支給決定について
①障害程度区分は、あくまでも勘案事項の1つであるということを徹底すること。
②生活状況(一人暮らしなど)、社会参加の状況、本人の意向を充分に勘案し支給決定を行うこと。

16 難病、発達障害など、制度の狭間におかれている人たちの支援を行うこと。
 ○発達障害者が、就労継続支援の雇用形などの対象となるようにしてください。
 ○発達障害者の雇用を拡大するために、ジョブコーチが活用できる対象にしてください。

17 補装具利用にあたって
   補装具利用に当たって、一時自己負担による償還払いには限界があるので、杉並区で一時立替制度を設けてください。

<連絡先> 杉並区阿佐谷南1-15-1 区職労気付 03-3312-3179
by tukurukai | 2006-01-24 23:23 | 自立をめざす活動